

「製品モデル設計」ってどんな作業なんですか?


考慮する仕様として代表的なものは、パーティングラインや抜き勾配、収縮率などかな。


パーティングラインって何ですか?


パーティングラインは、別名PL(ピー・エル)とも言うんだけど、金型が可動側と固定側の2つに分割される時の位置のことだよ。この位置はどこにでも設定していいわけではなく、製品を金型の平面で見たときに一番外側になる部分に設定するんだ。この設定位置によって製品の取り出し易さなんかも決まってくるね。


抜き勾配や収縮率は何ですか?


抜き勾配は、製品を金型からスムーズに取り出すために製品形状につける傾斜のことだよ。もう少し分かりやすく説明すると、物をある枠から取り出すとする。その物が円柱状よりも少し角度のついた円錐状の方が枠から取り出しやすいよね。その角度が抜き勾配なんだ。実際に僕たちの周りに溢れている日用品を見ても、ほとんどが抜き勾配がついていると思うよ。例えば、バケツやお弁当箱なんかね。
収縮率は、ダイカスト製品に用いられるアルミなどの材料は、金型の中に流し込むときは液体だけど、金型から取り出すときは冷却して固体の状態になる。この「液体から固体」になるときに体積が変化して若干縮むんだ。その体積比が収縮率なんだよ。製品モデル設計者は、その収縮率を予測して金型設計を行うんだ。
今回のまとめ
ダイカスト金型における製品モデル設計では、
主に以下のような仕様を決めて、金型設計していきます。
主に以下のような仕様を決めて、金型設計していきます。
- パーティングライン(以下、PL)
- PLの変化を複雑にしてしまうと金型を合わせた時に、均一に当たりにくくなり、バリなどが発生する原因となります。そのため、設計打ち合わせの段階でお客様と十分に協議する必要があります。
また誤った位置でPLを設定すると、通常の金型の動きでは取り出すことができない形状(アンダーカット形状という)ができてしまうので、十分に注意が必要です。 - 抜き勾配
- 抜き勾配の設定によって、製品の取り出しやすさが決まり、取り出す際の製品の傷の付き易さや製品の離型性が決まります。具体的に言うと勾配がついていることによって、製品と金型が擦れにくくなります。
ただし、でたらめに勾配をつけると、組み合わさる相手部品と上手く噛み合わなくなったりするので、抜き勾配の設計の際には十分に注意が必要です。 - 収縮率
- 金型の設計をするときには、必ず製品寸法に収縮率をかけて体積比を見込んで、金型設計をします。具体的には、収縮率は0.6%とか、6/1000といった数値に設定し、計算します。
しかしこの収縮率は一定ではなく、製品の厚みや形状によって若干収縮率を変更するため、その設定の仕方が製品モデル設計者の腕の見せ所です。